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宿(ゲストハウス・ホステル)にまつわる人のマガジン

地元を持たない外国人がどうして地域密着型ゲストハウスを開業できたのか?(2/2)

time 2017/09/22

地元を持たない外国人がどうして地域密着型ゲストハウスを開業できたのか?(2/2)

ゲストハウス萬家の後編です。なぜ日本へ?なぜゲストハウス?前編はこちらをご覧ください。(前編

お宿:ゲストハウス萬家(マヤ)
お名前:パクさん
開業:2017年7月
お住い:兵庫県
※左がパクさん

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地元に根ざした宿を目指すんだったらやっぱりそのやり方しかないかなと思います

Q:候補地は神戸以外になかったんですか?例えば住んでた東京とか。

東京はなかったですね。4年暮らしましたし、ずっと住む場所じゃないなって僕の中では確定してたんで「もう東京はいいかな」って思いました。

悩んだんですよ。韓国に戻って作った方がいいのか。しかし、日本で形にしてみたかった。せっかく日本に来て頑張ってきて、これまでたくさんの日本人の方にお世話になって応援して頂いていたので、日本で恩返ししたいと思った。

Q:なぜ神戸に?

妻が安心して過ごせる場所というのはどこなんだろう?やっぱり地元の近くがいいかなと。それを妻に言ったら学生の時によく遊びに来てた神戸というのを教えてくれて妻にとっては地元のようなところだと。いずれは神戸に住みたいって聞いて。ただ僕は会社辞める時も神戸のことを全く知らなかった。イメージもわかなかった。

品川宿で修行してた時に休みを取って神戸を見に来たんです。初めてきたんですけど虜になったんです。好きになったのは人がちょうどいいくらい。一番混んでる三宮に行ったってちょうどいいくらい。東京とソウルには30年間くらい住んでたので、人が多すぎるなと思って。東京とかソウルとか仕事は多いし交通も楽だし、でもそれが質の高い人生かというとそうじゃないような気がして。海も見えて船も見えて山もあって。僕は海の近くに住んだことなくって船が海を走ってる姿に異国を感じて「あ、いいな」と思った。

結果的に「神戸でやろう」と1回で決めました。2回目は古い商店街があるところにエリアを絞って来ました。地元の人と旅人をつなげたい。そのためには日本人のコミュニティがある場所じゃないとできないなって思って。コミュニティがある場所って商店街じゃないかなって思ったんです。商店街って繋がってるしコミュニティがそんなに大きくないし顔が見えるくらい。それで神戸にある商店街を巡る旅をしました。長田も行ったし新開地、明石も行ったし、須磨、岡本、二宮とか色々行って水道筋商店街へ来た時にここなら行けるかもって。

この商店街はまだ活気があってフランチャイズが少なかったんです。個人商店がほとんど。それが面白いなって。三宮元町と違ってほんとに昔ながらの町並みや魚とか野菜も売ってたりする商店街がまだ残ってるのがすごい新鮮だったんです。もう一つは僕が考えていたプランを実現するにはその町を盛り上げるために頑張ってる人がいないと成り立たない。それも初めてきた時に見えてきました。世代交代もしてて40代50代の店主が軸になってて。二回目でこの近くでやりたいと思いました。

Q:神戸の水道筋商店街に決めて、すぐに物件探しをしはじめたのですか?

その前に自分が地元民にならないといけないので、まずはバイトをはじめました。商店街の喫茶店でずっと(物件が)決まるまでバイトしてました。(町の)イベントがあったら手伝いにいったり、バイトでコーヒー淹れながら顔を憶えながら。

僕が最初ここでやろうって決めて来た時に、店をノックしながら「まちづくり活動してる方いないですか」って飛び込みです。何箇所か回ってたまたまあるお店に入ったらおばあちゃんが「うちの息子がまちづくりの活動してるから紹介するわ。」ってなって、連絡先を教えてもらって紹介してもらったんです。彼と繋がったことで彼からまた色んな人を紹介してもらってどんどんつながって、気がついたら町の会議にも呼ばれるようになって。

僕は外国人だから人に信用してもらえるまでは時間かかると思いました。僕が信頼されなかったら僕が紹介するゲストも(町の人に)信頼されないだろうって。

最初来た時に地元の人になりたいって言ってたので、利益とか関係なく(町の行事などを)手伝ったりしててみなさんと仲良くなってから「パクくんは何がしたいの?」って(聞かれた)。僕は「ゲストハウスやりたい」って。「そうなのじゃ応援する。何かあったら何でもやる」って。

物件があってそこで始めるっていうのが普通だと思うんだけど、僕は先に地域を選んだ。地元に根ざした宿を目指すんだったらやっぱりそのやり方しかないかなと思います。この地域だったからできたかもしれないですし。

Q:物件はどうやってどれくらい探しましたか?

ここ見つかるまで2年かかりました。もう10件以上ダメになって。貸してもらえないとか消防で無理だったとか。

住居としては人気エリアなのでなかなか空き家自体がなくて。もしあっても貸してもらえなかった。偏見ですけど外国人が泊まるって問題起こすんじゃないのとか。家主さんは高齢者の方が多いですし。

仲良くしてもらってたのでほとんどの物件が不動産に出てる物件じゃなくて町の人から紹介してもらったんです。
ここも紹介です。ここ(ゲストハウス萬家)も1年前くらいに1回断られたんです。2回目了解してくださって。

Q:2年探して、もしこの先も物件が出てこなくても、まだ探しつづけましたか?

そうですね、何年後になるかわからないですけど。自分でも不安だったんですけど、頑張ったらなんとかできると信じてる自分がいて。せっかくこの町が好きになってみんなに応援されて期待してくれてる。それで実はわざと他の地域の不動産を調べてなかったんです。やっぱりみなさんそれを理解してくれてて、「コイツ本気だぜ」「パクはヤバいよ、子供二人もいるし」って、それで一緒になって(物件を)探してくれた。

Q:神戸のインバウンドマーケットとか競合とかどう分析してました?

泊まりが大阪とかに比べると少なく日帰りが多い。分母は少ないです。でも僕もそうですけど、日本に何回か来ててベタな観光地はあんまり好きじゃないとか、ちょっとディープなところだったりローカルが好きな人とか、ゆっくり旅行をしたいという人は必ず存在しますしけっこうな数がいると思う。

ここはただ泊まる場所じゃなくって地元の人と友だちになれる。地域を楽しんでもらうことでこの地域を好きになる、この地域の人が好きになるから、また必ず来てくれると思いました。まずそこを考えました。

Q:修行と物件探しの長い時間を超えて、オープンしてみての感想は?

やっとできた(笑)

建物に対して「待っててくれてありがとう。」と。今まで自分がいくら頑張ってもやっぱりうまく行かなかったっていうのはここが待っててくれたから。物件とのご縁も感じます。ここの家主さんも応援してくれますし、出会うために時間がかかったんじゃないかなって思ってます。実際2年間かかったけどその期間がもしなかったら僕はうまく行かなかったかも。町の人も応援してくれることもなかったかも。町の人は(ゲストハウスを)「なんかできたらしいよ。」ってそれだけで終わりじゃないかな。

この前プレオープンした時に地区協議会長や自治会長や夫人会長老人会会長や商店会の理事みなさん来てくれて鏡割りしました。
これからです。

Q:今後どんな宿にしていきたいですか?

宿として成り立たせたい。根底にあるのは地域ですね。今もそうですけどお客さんに合いそうなこの地域のお店を紹介したり。ゲストはゲストハウス萬家からの紹介だから、そこのお店に行った瞬間常連さんになるんです。それが地域密着型の強みかなと。ただ送るだけじゃなくて「マヤから来ました」って言えばウェルカムしてくれる。ゲストもいい思い出になりますし、おもてなしをする側もいい思い出になります。

せっかく交流の場所ができたんで、「泊まるだけの場所じゃないよ」って、もっと地元の人も来る交流の仕掛けも作りたい、イベントもやっていきたい。

Q:まだ宿の一つ目ですが、次の展開って考えてますか?

ゆくゆくの夢なんですけど、自分が生まれ育った韓国で同じような地域密着型の宿を作って、日本の旅人と韓国の地元の人を繋げたい。それは自分でないとできないことじゃないかと思ってます。韓国の子がおもてなしをして、地域の情報をもらってあげたり一緒にガイドしたりそして安心して泊まれる。スタッフ間の交流も行ったり来たりしながら。

Q:ゲストハウスやりたい人ってまだ多いと思うんですけど、今からどうですかね?

ゲストハウスは僕の昔からの夢でしたので、僕は最初から日本でゲストハウスがこんなに流行ると思ってなかったんです。まわりの波を考えるより自分ができることをただやっていきたい。あんまり気にはしてないんです。まわりの波を考えるより自分がやりたいことを貫いて、できることをただやっていきたい。

 

Q:物件が見つかる人、見つからない人の違いは?

諦めるか諦めないかじゃないかな。

あとはまわりの協力ですかね。仲間。1人だとやっぱりくじける。本当に合ってるかどうか自分が正しいかどうか判断が一人だったら難しいと思います。修行時の宿場JAPANの仲間(先輩や卒業生)がいたからなんとか大丈夫だろうと諦めず頑張ってきたんです。1人だったら不安で不安でしょうがない。

僕は1年間でできればいいと思ってたんですけど、思ったより時間かかって2年弱くらいで実現できた。
萬家ができたのも応援してくださった皆さんのおかげです。

Q:ゲストハウス萬家では求人募集してますが、どういう人に来て欲しいですか?

地域密着でやってるので一緒に町を盛り上げたい、地域の活動をしながらゲストとも交流したい人。実際に町のイベントも手伝ったりすることも増えてくるので、そういう仕事も楽しんでやっていける人が大前提です。

ゲストハウスによっては色んな雰囲気があるじゃないですか。だから萬家では一緒に汗をかきたいっていう表現がいいんでしょうかね。

長く働いて欲しい。後々マネージャー業務まで任せられる責任感のある人。信頼しあえる関係になるまでと仕事を覚えるのと時間はかかるでしょうね。働いてて得るものはいっぱいあると思います。

Q:社会経験2年という条件はなぜ付けられましたか?

先入観かもしれないですけど、会社で経験のあるの人の方が理解しやすいと言うかお客さんの気持ちも察しやすいと思う。バイトも大丈夫です。ただ「英語好きで、みんなで飲んで楽しそうだから働きたいです。」っていうそんな感じでは来てほしくないという意味です。実際に宿の業務って楽しいことばかりじゃないですから、裏の仕事の方が多いし半分以上掃除だし。実際来てみて楽しくなかったってなるかもしれないから。

ありがとうございました。

お話を聞いててとても強かさを感じました。なんだかすごい戦略ではないかと。よくゲストハウスをしてる人はノリとか旅の延長でしてると思われがち。もちろん熱い思いは大切だけど。パクさんのやってることは、熱い思いをベースに単騎戦、局地戦、接近戦、みたいな。なんだかランチェスター戦略とか思い出してしまった。オープンしたばかり。今後の展開が楽しみ。

 

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